神話学入門/大林太良

YOUKIAya

2015年07月16日 22:20


 こんばんは、結城です。



 しばらく樹村みのりの漫画作品を紹介してきましたが、今回はまた活字の本をご紹介します^^



■神話学入門/大林太良

書名/神話学入門
著者/大林太良
出版元/中央公論社
シリーズ名/中公新書(中公新書96)
初版発行日/昭和41年3月25日

「神話学」、この言葉を御存知だろうか? 正直本書を手にするまで神話学というものがあるとは知らなかった。序文によれば戦前からある学問のようなのだが、まあ、本書を読んでいただければ民俗学や文化人類学に近いものであることがわかるだろう。
 神話、と一口に言ってもさまざまなものがある。世界各地にある創世神話もそうであるし、ギリシア神話、北欧神話といったものがよく知られているものだと思うが、著者の大林は「そうしたものだけが神話ではない」と、少数民族に伝わる神話を紹介してもいる。
 本書では東西の神話を比較分類してみたり、意外な共通点を指摘したりしながら、漠然とした「神話」というものを民族や文化の歴史を知る手がかりとしている。
 神話とはなにか、というところから入り、まずは神話を分類し、宇宙の起源、人類の起源、文化の起源といったジャンルで世界各地の神話を解読していく。
 本書の最後で大林は、世界的には神話の研究は古く、特に1930年代以降はめざましい進展があったと言ったあとで、日本国内ではまだまだこれからという段階だと語っている。本書の刊行された昭和41年当時から「神話学」という分野がどのように発展したか詳しくはわからないが、民俗学や文化人類学といったジャンルに含められてしまったのではないかと言う気がする。神話学という言葉がポピュラーではないことがそう推察する理由ではあるのだが、いかがだろうか。
 そんなことも踏まえつつ、本書を読んでみると「神話」に対するとらえ方も変ってくるのではないかと思う。古書店などで見かけた際には手に取ってみてほしい。